「まちかどノーマライゼーション」

ノーマライゼーション 平成14年2月から4年半にわたり、情報誌「fooga」(発行コンパスポイント)に連載コラム「まちかどノーマライゼーション」を掲載し、ノーマライゼーション思想の普及を行いました。

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筆者プロフィール

伊藤勝規
1964年宇都宮生まれ。
高校時代に宇都宮車いすガイドブック作りに参加したのをきかけに福祉道に入る。
「福祉」を慈善ややさしさとは切り離し、独自の視点で語ることをモットーとする。

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2004年7月号 「若葉ともみじとクローバー」

「若葉」「もみじ」「クローバー」、この3つの言葉に共通するものはなに?
なんて有名私立幼稚園のお受験問題のようですが、みなさんはわかりますか?
答えは、道路交通法で規定された自動車に表示するマークで、
他の車よりも保護されるべき車両であることを意味するものです。
具体的には表示された車両への幅よせや割り込みが禁止されており、
違反者は減点1点、罰金5万円以下が課されることになっています。

3つのマークの中で一番歴史があるのは若葉マークです。
運転暦1年未満のドライバーに表示が義務付けられているマークで、
正式には「初心者標識」といいます。私はよく「ヒヨコのマーク」と呼んでしまうので、
周囲から「ヒヨコなんて描いていないよ」と指摘されます。

もみじマークも最近では多く見かけるようになりました。
当初75歳以上のドライバーを対象としてスタートしましたが、
一昨年70歳以上に拡大されました。
「高齢者標識」が正式名称ですが、「枯葉マーク」「落ち葉マーク」などと呼んで、
当事者のシルバードライバーからヒンシュクを買う人も多いようです。
あの葉っぱの形にオレンジ色ですから、そう呼びたくなる気持ちもわかりますが、
私は仕事がら注意を欠かしません。

それでは、クローバーマークはどういう意味合いのマークかわかりますか?
正式には「身体障害者標識」といいますが、身障者を意味するマークは従来からの
車いすマークが一般的で、その違いも含めハッキリと表示の意味を知る人は少ないことでしょう。
クローバーマークは、「肢体不自由であることを理由に運転免許に条件を付された者が
普通自動車を運転する場合において、その肢体不自由が運転に影響を及ぼす
おそれがあるときに、その普通自動車に表示するもの」となっています。
つまり、あくまでドライバーを対象としたマークであり、
搭乗者も含め障害者を対象とする車いすマークとは違う意味合いがあるのです。

このクローバーマーク、まだまだ周知度が低く「車いすのマークよりも体裁がいい」
というような理由で家族が運転する場合にも利用されたり、
「車いすマークは廃止になった」という間違ったうわさも広まっているようです。
また、「クローバーマークだけでは身障者用駐車場の利用を断られた」
というようなトラブルも報告されています。

私も数十年前、若葉マークを付けて運転を始めたわけですが、
マークの表示で特別に保護された印象は残っていません。
もみじマーク、クローバーマークには表示の義務はありませんので、その普及は、
表示の効果をどれほど運転者が実感できるのかが鍵となりますが、
一般ドライバーの運転マナーに頼るよりも罰則のPRの方がやはり近道なのでしょうかね。
罰則があるなんて、みなさんは知っていましたか?

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